<農地転用>隣接土地所有者の同意がもらえないとき
農地に家を建築したり、ソーラーパネルを設置する場合は、農地法4条又は5条の許可申請を農業委員会へ提出し、都道府県知事等の許可を受ける必要があります。
この許可申請の際に、「隣接土地所有者の同意書」を求められますが、これがなかなか用意できずに困ったことはないでしょうか。
隣接のする土地の所有者さんが計画に反対していて同意書が用意できないんです。
当事務所でも、同意をもらえないという事例によくあたります。
この「隣接土地所有者の同意書」ですが、添付がなくても許可申請を提出できる場合があることを御存知でしょうか。
これについて、解説していきたいと思います。
農地法等に規定がある添付書類
許可申請書には、許可処分の対象となる土地が確認できる書類、転用実現の確実性等が判断できる書類として、次の書類を添付することとしています。ここでは4条許可を例にあげます。
①【全部事項証明書】申請者が法人である場合には、法人の登記事項証明書及び定款又は寄付行為の写
②【付近見取り図、登記事項証明書】土地の位置を示す地図及び土地の登記事項証明書
③【実測平面図、計画図、排水計画図】申請に係る土地に設置しようとする建物その他の施設及びこれらの施設を利用するために必要な道路、用排水施設その他の施設の位置を明らかにした図面
④【資金証明書】転用の目的に係る事業の資金計画に基づいて事業を実施するために必要な資力及び信用があることを証する書面
⑤【仮登記権者等の同意書】申請に係る農地を転用する行為の妨げとなる権利を有する者がある場合には、その同意があったことを証する書面
⑥【土地改良区の意見書】申請に係る農地が土地改良区の地区内にある場合には、その土地改良区の意見書
⑦その他参考となるべき書類
以上のように、隣接土地所有者の同意書は、農地法等に規定がなく、「⑦その他参考となるべき書類」として求められているにすぎません。
その他参考となるべき書類
その他参考となるべき書類として、例を挙げると、「印鑑証明書」、「住民票」、「隣接土地所有者の同意書」などがありますが、法に規定がないため、農業委員会や都道府県によって、取り扱いが異なります。
京都府南部のほうでは、実印と印鑑証明書を求められる市町村もあるようですが、北部では実印も印鑑証明書も不要です。
その他参考となるべき書類の取り扱いについては、農水省からの通知が出されています。
農水省通知
農水省からの通知には、次のように書かれています。
第4 農地等の転用の関係
参考通知等 農地法関係事務処理要領(平21・12・11 21経営4608・21農振1599)最終改正 令2・4・1元経営3260・元農振3698
1 農地転用許可手続
(1) 法第4条の許可手続
ア 〔省略〕
イ 申請書には、次に掲げる書類を添付させる。
(ア)~(コ) 〔省略〕
(サ) その他参考となるべき書類(許可申請の審査をするに当たって、特に必要がある場合に限ることとし、印鑑証明、住民票等の添付を一律に求めることは適当でない。)
つまり、その他の添付書類として、印鑑証明書や隣接土地所有者の同意書については、一律にその添付を求めることのないように指導されています。
では、なぜ印鑑証明書や隣接土地所有者の同意書の添付を求められるのでしょうか。
印鑑証明書は、許可申請書が申請適格のある当事者であるか否かの確認のために、また、隣接土地所有者の同意書については、転用に伴い隣接農地への被害が予想される場合において被害防除措置が適切かどうかの判断材料として、これらの書類の添付が求められています。
また、隣接土地所有者の同意書については、事業計画について近隣の農地所有者へきちんと説明をして納得してもらうことで、転用事業による争いを未然に防ぐ意味もあるということです。
同意書に関わらず、お隣さんにはきちんと説明をしておくことが重要です。
それはそうなんだけど、何度も電話したり訪問しても全く話をきいてくれないんですよ。
このように、近隣の方へ説明をしたくてもできなかったり、また、隣接農地所有者が自分の農地に被害が及ぶのではないかと過度に心配することで同意しないというような場合があり、その理由は様々です。
転用事業者が誠実な対応をしようとしてもどうしても駄目な場合は、農業委員会へ事情を説明し、同意書に代わる書類を提出することで申請を受け付けてもらえる場合があります。
同意書に代わる書類
同意書がどうしてもとれない場合は、それに代わる書類として「理由書」を提出することで申請できる場合があります。
理由書には、同意書が添付できない理由について、同意書をもらうためにどのようなアプローチを行ったか、また、隣接農地所有者の反応などについて経過を記載し、最後に、以上の理由により同意書を添付できませんが、事情をご賢察のうえ、御高配賜りますようお願いします、というふうに締めくくります。
理由書を提出した後も、隣接農地の所有者へのアプローチは続けてくださいね。
許可をとってしまえば、後はどうでもよいということのないように。
嘘の計画を説明したり、都合の悪いことは隠して同意をもらうということは、もってのほかです。
また、理由書で受け付けてもらえるかどうかについては、農業委員会及び都道府県の判断によりますので、必ず農業委員会へ相談しするようにしてください。
まとめ
農地転用の許可申請において、隣接土地所有者の同意書が用意できない場合でも、理由書を添付することで申請を受け付けてもらえる場合があるということについて説明しました。
当事務所では農地法に関する手続きを普段より取り扱っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
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